アテネ五輪陸上女子マラソン。
野口みずき選手に最高の賞賛を贈りたい。
あらゆる準備を重ねて勝ち取った完璧な金メダルだった。
このレース展開の中で、
一番衝撃を受けたのは、
世界最高記録保持者ラドクリフ選手の棄権だった。
173センチの大きな身体を上下に揺らして走る姿に、
(変わった走り方だなぁ~)と思っていた。
36キロ地点、急に立ち止まってしまい、
疲れた顔を両手で隠しながら泣き崩れるラドクリフ選手。
(あっ!)
あの姿を見た瞬間、
ボクは、胸に熱くなるものを感じた。
一瞬にして、7年前の自分にタイムスリップした。
ロードレース、マラソンに夢中になっていたころ、
たった一度だけ、レース中に涙したことがあった。
フルマラソンに出場し、
前年の記録更新を目標に意気揚々と走っていた。
忘れもしない33キロ地点、
足に痛みが生じて一気にペースダウン。
右ひざが曲がらなくなったのである。
それまでの大会では
地道に練習を重ねて走りこんでいたのだが、
このときばかりは、練習する時間を作れずの参加で、
右ひざが耐えられなくなったのである。
暑い5月の日差しで意識も、もうろうとなり、
34キロ地点で、ついに立ち止まってしまった。
レースで止まったのは初めてのこと。
涙があふれ出てきた。
( くそぉー!!!
なんでもっと練習してこなかったんだ・・・! )
怒りをぶつける場所もなく、
汗と涙がグチャグチャになって、見苦しいくらいに顔を汚しながら、
ただひたすらに自分を責めていた。
さっそうと横を通り抜けていくランナーたち。
「がんばれよっ」
と声をかけてくれたのに、返事をする気力もなかった。
つらく、くやしい屈辱の時間であった。
とぼとぼと歩きながら、
(気持ちだけでは走れない!それなりのトレーニングを考えなければならない)
と決意したことを覚えている。
なんとかゴールした後、
グループメンバーの笑顔を見ていて、自分はまだまだだと感じることができた。
経験の足りなさを気づかせてくれ、
それ以降のレースへの準備や計画に役立っている。
負けて多くのことに気づくことは、
今の自分にも役立っているような気がする。
失敗を恐れない自分でありたい。
ボクは、走って涙するサルです。